雨水地下浸透の推進に係る市の取組みに対する意見書

昨年度、環境市民会議内のプロジェクトチームがまとめた「武蔵小金井駅南口の第2地区再開発地域における雨水浸透について」をもとに意見書を作成し7月23日に市長に提出しました。小金井市環境市民会議では、市の進める環境施策に沿うべく南口再開発事業につきましても、比較的、計画の早い段階から高層建造物の雨水浸透のあるべき姿の検討を進めてきましたが、残念ながら採用されることなく再開発事業は終盤を迎えています。これに対して、今後の新たな開発への対応として「高層階の建物の壁面に降った雨水は地下浸透と中水利用を徹底し、原則として雨水は直接、下水道に排水しないことを求める」ものです。


小金井市長
西岡真一郎様
                                                                                                                                                2019 年 7 月 23 日
                                                                                                                                        小金井市環境市民会議
                                                                                                                                                    代表 小山美香
雨水地下浸透の推進に係る市の取組みに対する意見書
-武蔵小金井駅南口第二地区第一種市街地再開発事業を例に-


小金井市環境市民会議に対しましては、常々格段のご配慮を頂き有難うございます。
小金井市では、2008 年に 市制施行 50 周年記念事業として「雨を活かすまちづくり 50 年
の継承」 8 市長サミットを行いました。そこで「雨 水 はまちの資源」として、この先 50 年
「雨をかりる・かえす・活かす」ことで、乾きつつあるまちを「安全と潤いのある故郷」
として次世代に残すため、市民・事業者・学識者・行政の協働で、考え、行動し、継承す
ることを宣言しました。それ以降、市の 重要な環境施 策の一つとして雨水の地下浸透を進
め、その取り組みが全国的にも優れたものであるとの評価を受けていることはご同慶の至
りです。

 

さて、小金井市環境市民会議では、市の進める施策に沿うべく掲題の南口再開発事業に
つきましても、比較的、計画の早い段階から 高層建造物の 雨水浸透のあるべき姿 の検討を
進めてきました。一昨年来、その検討結果をもって、 地下水保全会議等を通じて 幾度か市
への提案を行ってきましたが、残念ながら採用されることなく今日に至っています。現在
では、この再開発事業は終盤に差し掛かり、私たちの 提案 が生かされる 可能性は 失われた
と認識していますが、今後 の対応として、以下のことを切望します。
・近年、駅周辺の大型開発に伴い高層階の建物が増えています。高層階の建物は、敷地
に降った雨より壁面に降った雨の方が圧倒的に多く、この雨水の処理・活用が新たな課題
となっています。これらの雨水は、地下浸透と中水利用を徹底し、原則として雨水は直接、
下水道に排水しないことを求めます。
なお、同様の開発事業が行われ る場合 には、行政として計画当初から「雨水の地下水浸
透」の指導を 強力に 行っていただきたく、今回の検討結果 を別紙として 添付 します。

 

 
 別紙

雨水の地下浸透及び雨水の積極的な利用は、「地下水及び湧水を保全する条例」に基づく市の基本方針です。すでに平成23年(年(2011年)に完成した宮地楽器ホールやイトーヨーカドーが立地する武蔵小金井駅南口の第一地区再開発事業では、環境に配慮した計画として雨水を出来るかぎり地面に浸透させ自然に戻しています。

いっぽう現在工事中の第二地区については、高層建物に降った雨水の処理用として地下に下に400トンと2,400トンの雨水貯留槽を設けています。400トンの貯留槽の雨水は、低層階の商業施設のトイレの洗浄水や植栽の水遣り用の中水に使用するが、2,400トンの貯留槽の雨水は下水道に排水する計画になっています。

再開発組合(事業者)は貯留雨水の地下浸透が出来ない理由として、費用がかかることと場内に浸透できるような空地がないことをあげています(平成29年年11月月13日第2回地回地下水保全会議の会議録他)。

しかし第二地区は第一地区と建ぺい率、容積率が同じなのに、なぜ第一地区で出来たことが第二地区で出来ないのか不思議でなりません。

よって第二地区の雨水の地下浸透及び雨水の積極的な利用の実現を図るために、以下の方法が取れたのではないかと考えます。

(1) 第二地区再開発事業地内の降雨雨水の水循環を徹底化すること
           高層建物へ降った雨水の下水道排水を見直して、降雨雨水の商業施設等の中水利用の徹底又は地下浸透施設に         よる地下浸透で水循環の推進を図ること。


(2)具体的な中水利用計画について具体的な中水利用計画について
        中水利用の雨水貯留槽400トン※の貯留水は、1日で最大200トンの使用を見込むため2日で空になる。よって常        に中水利用できるようにするために、2,400トンの雨水貯留槽から400トンの雨水貯留槽に貯留水を送る設備を          設けて、貯留水の中水利用を徹底化して下水道に排水しないこと。
         ※低層階の商業施設のトイレの洗浄水と植栽の水遣り用

(3)中水利用の雨水貯留槽の満水によるオーバーフロー分の下水排水について
        オーバーフロー分の雨水は下水に排水せず、十分余裕のある2,400トンの雨水貯留槽に流入させること。

        二つの雨水貯留槽を接続、循環させることで、雨水の下水排水を不要にすること。

(4)具体的な地下浸透施設について具体的な地下浸透施設について
      (2)3)の中水利用の徹底化によっても使用しきれない2,400トンの雨水貯留槽の貯留水は、地下浸透施設

  の整備により地中に戻し下水道に排水しないこと。

  地下浸透施設の整備については、地下に構造物がない二期工事地区の区画道路6号及び広場等を候補地とし

  て検討すること。※
   ※広場の地下には40トンの防火水槽の整備計画があるが、なお地下浸透施設整備の余地を見込む。広場と 

    区画道路6号は再開発組合から権利変換されて小金井市の所有になっている。防火水槽と道路整備は再開発

    組合が整備して、その後の維持管所有になっている。防火水槽と道路整備は再開発組合が整備して、その

    後の維持管理は市が行うとしている。


二期工事地区